よくあるご質問

成年後見制度を利用すると、報酬が毎月かかり、融通がきかず利用しにくいと聞きました。どんな制度ですか?

認知症を発症して判断能力がなくなると、法律行為(契約をする、議決権の行使をする、遺産分割協議への参加、定期預金の解約など)ができなくなります。これを補うため、すでに判断能力が低下してしまった方が利用する制度として、成年後見制度があります。

成年後見制度とは、認知症や精神障がいによって、判断能力が不十分なため契約等の法律行為を行えない人を後見人等が代理し、必要な契約をしたり,財産管理をして、本人の保護を図るものです。(後見、保佐、補助の3つの類型がありますが、ここでは後見を前提としています)

本人の財産管理は、成年後見人が家庭裁判所の監督のもとに行います。成年後見人は家庭裁判所に対し、定期的に本人のために行った財産管理の内容を報告する義務があり、本人が亡くなるまで成年後見人の仕事は続きます。

 

そして、成年後見制度は、本人のために財産を守る制度です。
成年後見制度は、周囲の家族のための制度ではありません。本人が元気な時に、孫の大学合格の祝金を支払うと約束していた場合でも、成年後見制度を利用していると本人のための支出ではないので認められません。

また、成年後見人は家庭裁判所が選任するため、家族が財産管理をする成年後見人になれるとは限りません。現状ですと、約7割は弁護士、司法書士等の法律の専門家が選ばれています。

では、成年後見制度のメリット・デメリットとはどのようなものがあるでしょうか?

【メリット】
・成年後見人が本人に代わって法律行為(契約をする、議決権の行使をする、遺産分割協議への参加、定期預金の解約など)を行うことができる
成年後見人等は,本人のために,本人の財産を適切に維持し管理する義務があります。そのため,一般的に本人の利益を損なうような以下の行為は原則として許されません。
・本人を借金の保証人としたり,本人名義の不動産に担保権(抵当権)を設定したりすること
・元本割れのリスクを伴う金融商品を購入するなど財産を投機的に運用すること
・成年後見人等やその親族に対し,本人の財産を贈与,貸付けするなど本人以外の者のために財産を使用すること
・本人が行った契約を成年後見人が取消すことができる
・家庭裁判所が監督するので、親族の預金の使い込みを防ぐことができる

【デメリット】
・第三者が成年後見人となれば、家族以外の者が財産の管理をすることになり、報酬を支払う必要がある(毎月2万円~6万円)
・家族が成年後見人となった場合でも、事務処理が煩雑(就任後1カ月以内の財産目録作成、1年に1回の定期報告など)
・本人にとって本当に意味のある合理的な支出しか認められず、家族にメリットのあるような行為はできない
・相続税対策ができない(生前贈与✖、生命保険契約✖、投資商品の購入✖、収益不動産の建築✖)
・同族会社が家族に対して貸付を行うことはできない
・孫の合格祝金を出すことができない
・取締役の欠格事由に該当し、退任することになる
・自社株の議決権行使を経営の専門外の成年後見人に任せることになる

成年後見制度を利用すると、金融資産や不動産を多くお持ちの方は、相続税対策など柔軟な財産管理はできなくなるので、不便を感じることが多いかもしれません。
ご本人が契約できるうちに家族信託(民事信託)をすることで、ご家族が柔軟に財産管理をすることができます。

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