福岡県 60代 男性

状況

福岡県内にお住まいのMさんからのご相談です。
Mさんの叔母(Eさん)は、現在80代後半で独り身です。また、Eさんは5人兄弟で、そのうちの3人の兄弟は他県に住まれています。

現在、Eさんの身の回りのサポートは、Eさんの義妹であるRさんと、Rさんの子であるMさんがしています。
Mさんがテレビで家族信託という制度を知り、EさんとRさんにもこの制度を活用できないかと、当事務所にご相談に来られました。

EさんとRさんにお話を伺うと、Eさんは、「Rさんに財産の管理を任せたい」、Rさんは、「Eさんの他のご兄弟は他県に住んでおられるので、将来Eさんの介護などをするのは自分であると思っている。」とのことでした。

EさんやRさん、Mさんのお悩みは下記の通りでした。

Mさんのお悩み

  1. Eさんの生活、医療介護にかかる費用は、Eさんが支払う。もし、将来万が一Eさんの判断能力が低下し、口座が凍結されることになったら、Rさんが立て替えることは難しいので、Eさんの預貯金が凍結されることを防ぎたい。
  2. Eさんのご兄弟から、Rさんに対して、よからぬ誤解を受けないようにしたい。
  3. 当初の受託者(財産管理を託される人)はRさんが良いが、Rさんは70代なので、ゆくゆくはMさんに受託者(財産管理を託される人)の交代ができるようにしておきたい。
  4. Eさんの遺言書の作成をしたい

家族信託の設計

【家族信託をする予定の財産】

【家族信託の設計】

委託者兼受益者:Eさん

第一受託者:Rさん(Eさんの義妹)

第二受託者:Mさん(Eさんの姪、Rさんの子)

現在、Eさんは80代の高齢で一人暮らし。Eさんが将来、認知症になった時に財産が凍結されてしまうことを防ぐため、元気な今のうちにRさんに財産管理を託すように設定しました。

また、Rさんも現在70代と高齢のため、将来万が一、Rさんが判断能力が低下してしまい、Eさんの財産管理ができなくなってしまうのを防ぐ為に、第二受託者としてRさんを設定しました。

【家族信託をしていない財産について】

信託しない財産については、相続先を指定するために公正証書で遺言の作成をお勧めしました。

既に、自筆証書遺言を作成されていらっしゃいましたが、もしも相続人が自筆証書遺言の有効性を疑った場合、もめ事になる可能性があるので、有効性を高めるために公正証書での遺言の作成をお勧めしました。

家族信託を行うメリット

家族信託を行うことで、受託者であるRさんが、Eさんから信託された自宅不動産の管理や、Eさんから信託された金銭の管理(自宅不動産の管理にかかる費用や、Eさんの生活・介護・医療及び納税等に必要な費用を支出することなど)ができるようになります。