自筆証書遺言を見つけたら、「遺言書の検認手続き」を行う必要があります。この遺言書検認手続を行っていない場合、相続手続きを進めることはできません

本日は、自筆証書遺言書を見つけた又は自筆証書遺言書を故人から預かっていた方が行う、遺言書検認の手続きについて説明します。

遺言書の検認の手続きに必要な書類を集めることから遺言書検認まで、又は、検認後の相続手続きまでを弁護士に依頼することもできます。

しかし、弁護士に依頼せずとも、相続関係が複雑でない場合や費用を抑えたい方は、ご自分で検認手続きを行うことができますので、参考にしてください。

遺言書を見つけたら、封を切らずに遺言書検認手続きを

遺言書には複数の種類があります。遺言書の検認手続きが必要なのは、自筆証書遺言書と秘密証書遺言です。
公証人によって作成された公正証書遺言と、法務局に保管されていた自筆証書遺言については、検認手続き不要です。(秘密証書遺言は、検認が必要です。)

遺言書検認手続が必要な遺言を見つけた場合は、見つけた状態のまま保管し、速やかに検認手続を行いましょう。

検認手続きはどこでするの?

遺言書の検認手続きは、家庭裁判所で行われます。
家庭裁判所であればどこの地域の家庭裁判所でいいわけではありません

遺言者の最後の住所地(住民票上)の管轄である家庭裁判所に、検認手続きを行います。

▼▽▼▽▼裁判所の管轄区域を知りたい方はこちら▽▼▽▼▽▼▽
https://www.courts.go.jp/saiban/tetuzuki/kankatu/index.html
裁判所ウェブサイトより

検認の手続き(遺言書の検認申立)に必要な書類はなに?

遺言書を見つけた又は遺言書を故人から預かり保管していた方が、遺言書の検認手続きを行う必要があります。

遺言書検認の申立時に必要なもの

  • 申立書(裁判所のホームページに書式あり
  • 当事者目録
  • 遺言者の出生から死亡までのすべての戸籍(除籍、改正原戸籍)謄本
  • 相続人全員の現在の戸籍謄本
  • 収入印紙(申立書に貼付) *詳しくは、管轄裁判所の手数料をご確認ください
  • 郵便切手 *詳しくは、管轄裁判所の手数料をご確認ください

遺言者の相続人となる人が、遺言者よりも先に亡くなっている場合や、遺言者に子がいない場合又は相続人が不存在の場合には、上記以外にも必要となる戸籍(除籍、改正原戸籍)謄本があります。

家庭裁判所に提出する申立書と当事者目録の作成の仕方

遺言書検認の申し立て時に必要なものに、申立書と当事者目録があります。これは、申立をする人が作成をします。
裁判所のウェブサイトから書式の雛形をダウンロードすることができます。

フォーマット

リンク先:裁判所のウェブサイト(家庭裁判所 遺言書の検認の申立書のフォーマット

検認の申立書を提出した後の流れは?

遺言者の最後の住所地(住民票上)の管轄である、家庭裁判所に、遺言書の検認の申し立てを行ったら、家庭裁判所より、申立人(自筆証書遺言書を見つけた又は自筆証書遺言書を故人から預かっていた方)に、検認期日(遺言書を家庭裁判所で開封する日時)について調整の連絡がはいります。

申立人は、必ず、遺言検認期日に出頭(家庭裁判所に検認期日に出席する)しなければなりませんので、家庭裁判所と検認日時を調整します。検認期日が決まったら、家庭裁判所より、他の相続人へ「期日通知書」というものが送られます。

「期日通知書」が届いたら?

遺言者の相続人へ、「期日通知書」という見慣れない書類が家庭裁判所から届きます。
内容は、「遺言者▲▲の遺言書検認について、期日が●月●日に定められましたから、通知します。本書面をご持参の上、■■へお越しください。」という案内文です。

申立人以外の相続人は、遺言書検認に立ち会うかどうかは自由ですし、欠席したとしてもデメリットはありません。また、相続人全員が出席せずとも、検認手続きは行われます。

遺言書検認期日 当日はなにするの?

遺言書の検認当日は、申立人は遺言書と印鑑(申立書に押印した印鑑)、収入印紙150円(遺言書1通につき。複数の遺言書を検認する場合は、その通数分)を持参し出席します。

裁判官、書記官、申立人、出席する相続人の立ち合いのもと、遺言書の原本を開封し(封入された遺言の場合はここで初めて封筒を切ることになります。)、遺言の方式に関する事実の調査がされます。遺言書検認とは、遺言の物理的な状態を確認する手続きですので、遺言の内容について有効か無効かということを判断する場ではありません

遺言の方式に関する事実の調査というのは、①封筒に入れられているか、場合によっては包装の状況の確認、②遺言書の紙質や色、③使用されている筆記用具の種類、④字の色、⑤印影があるか、⑥印影があるとして朱肉によるものか否か、⑦ホッチキ止めの一体化の状況、⑧花序訂正の状態などについて確認していく作業です。

遺言書検認の手続きが行われたら、裁判所書記官により「検認検認調書」が作成されます。検認が終われば、「検認済証明書」の申請を行い、遺言書の原本を申立人に返還してもらいます。

そもそも遺言書検認手続きをしないといけない理由はなに?

大切な人の遺言書を見つけたら【その場で開けないで】

note.com: 小山好文(弁護士法人アジア総合法律事務所)

最後に

遺言書の検認が行われたら、金融機関などで、相続手続きを行うことができます。

弁護士に依頼せずとも、相続関係が複雑でない場合や費用を抑えたい方は、ご自分で検認手続きを行うことができますので、参考にしてください。

当事務所では、相続にまつわるお客様のお悩みを一緒に解決するお手伝いをしていますので、遺言書の検認手続きのご依頼のみならず、相続手続きや相続トラブルにお困りの方はご相談ください。

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小山 好文 弁護士
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