任意後見から家族信託に切り替えたケース

状況

Bさんは、ご自身が認知症になった場合や、相続が発生した際に残された家族が揉めることがないよう、すでに公正証書遺言と、任意後見契約を結んでいました。後見人は、信頼できる姪(Cさん)にお願いしていました。

しかし、本当にこの対策で良いのか、もっとご自身の想いにかなった方法がないか、Cさんのご要望も含めてもう一度検討したいとのことで、当事務所にご相談にお越しいただきました。

家族信託の設計

当事務所では、Bさん、Cさんと綿密なヒアリングを重ねた結果、任意後見の契約を見直し、家族信託に切り替えるご提案をしました。

一番の理由は、Bさんに認知症が発症し、Cさんが任意後見人についた際に、必ず、家庭裁判所からつけられる「任意後見監督人」にかかる費用の問題です。毎月、最低でも約2万円かかることになり、もし、10年間介護期間があった場合、トータルコストは240万円になります。家族信託であれば、初期費用の70万円程度で、その後の対策をとることができます。

こうしたことから、今回のケースで設計した家族信託のスキームは以下のとおりです。

  • 信託財産:自宅、預貯金
  • 委託者:Bさん
  • 受託者:Cさん(姪)
  • 受益者:Bさん

認知症などによりBさんの判断能力が低下した場合、CさんがBさんの代わりに自宅不動産の管理、賃貸、売却、修繕、建て替えなどの一切の契約行為を行うことができるようにしました。それによって得た利益は、Bさんのもの(信託された財産から発生する利益=信託金融資産)として、引き続きCさんが管理します。

Cさんは、Bさんから信託された金銭を管理する専用の口座から、Bさんの生活費や介護費用に使うお金の管理や、介護施設の入居一時金など大きなお金を支出しすることができるようにしました。

家族信託を行うメリット

お元気なうちから「もしも」に備えて、遺言や任意後見で対策をとっていらしたBさんですが、当事務所にご相談いただいた結果、よりご納得いただける「家族信託」を選択されることになりました。

今回のケースでの一番のポイントは、もしもの際にかかるトータルの費用をより安く抑えることができたことです。後見制度は、認知症になったしまった際のセーフティーネットとして重要な制度ですが、「ご本人を守る」ための制度であることから、運用が非常に厳格で、実はトータルでみると費用もかなりかかるのです。

かつてのBさんは、家族信託のことをご存知ありませんでしたが、テレビやセミナーを通して関心をもっていただき、すぐに行動に移していただいたことが、結果として良い生前対策の実現につながったと感じています。

また、Cさんも含めて、何度もBさんとお話をさせていただき、本当に実現されたい想いを教えていただくことができ、その想いを実現するお手伝いができたことを、私たちもうれしく思っております。